【VBセミナー(8)記録】

【写真と文 安部博文】

日時2016年10月5日(水)18:00-20:00
場所電気通信大学 西11号館2階 ピクトラボ リビングルーム
テーマ先輩から後輩へ:大企業&スタートアップ、日本&米国の経験論 (1)
講師湯浅 剛
参加者7名 (学生6名、インキュ企業1名)

講師略歴
AZAPA R&D Americas, Inc. CEO & President
1974年、東京生まれ。
2000年、電気通信大学大学院電気通信学研究科電子情報学専攻博士前期課程修了。ファジー推論を研究。
2000年、本田技研工業㈱入社。
2007年、Honda R&D Americas社情報技術研究部門、Principal Engineer。
California大学Los Angeles校(UCLA) Extension School、LSP-Debate Class、2010年修了。
2012年、独立しロサンゼルスにAZAPA R&D Americas, Inc.を創設、CEO。
専門はテレマティクスTelematics (= Telecommunication+ Informatics)。
テレマティクスは造語。テレマティクス = 遠隔通信のテレコミュニケーション + 情報科学のインフォマティクス
クルマなどの移動体に携帯電話などの移動体通信システムを利用してサービスを提供することの総称(ウィキペディア)。

1 内容
・今回は湯浅さんの3回セミナーシリーズの初回。
・3回それぞれの回のテーマは次:
(1)大きな会社(研究所)での仕事の方法について学生時代には分からなかったこと・いま学生に伝えたいこと。
(2)アメリカ・ロスアンゼルスでの10年の経験を元にグローバルでの戦い方、考え方の違い。
(3)大企業を経験した後の起業。自分の価値の見出し方。

・本田の研究所での1年目
新型車に搭載する部品のテストを行う部署に配属された。
【ポイント】 辛くてもとりあえず、とことんやってみた。テストに関しては社内でオンリーワンの存在になった。すると予想外に周りからレスペクトされモチベーションがUP。

・入社3年目
新規開発のカーナビのリーダーになった。(ホンダはクルマとカーナビを一体として捉えているメーカー)
運転者がカーナビに視線を取られずに操作できる新しい仕組みを作った。パテントも取れた。
【ポイント】 実績の積み重ねがものを言い、社内で立ち回りやすくなった。やりたいことをやり易くなった。

・中堅
提案と開発を繰り返す。北米研究所から来ないかと打診。
2007年に家族3人で渡米。開発統括に就任。
英語力をつける。
【ポイント】 大企業でやりたいことをやらせてもらえた。次のステップに行こうと決心し2012年に、退社、独立。

・大企業は優秀な人材が集まる
人の集団は20:60:20の割合で、パフォーマンスが優秀:普通:劣る、に分かれる。大企業も例外ではない。
大企業といども動かしているのは、ひとにぎりのキーマン。
会社にとって価値のある人とは? それは逃げない人、前のめりになれる人である。逃げない癖をつけることが大事だ
【ポイント】 経験がない、もしくは少ないのに、やりたいこと・やりたくないことが判断できるだろうか。
仕事の本質を知るには、とことんやり切る必要がある。それには最低3年が必要。

・モチベーションの持ち方は?
会社でひとにぎりのキーマンになるには「できる人」になるしかない。どんな仕事でも仕事を全うしていると回りに認められる。
【ポイント】 社内の先輩、上司、同僚に認められること。これが想像以上にモチベーションにつながる。

・仕事を全うするとは?
仕事はできる人のところに降って来る。全て自分でやるのは不可能。そこで、仕事に優先順位をつける。
優先順位のつけ方が大事。
上司にやらない仕事の説明がつくし、周りに割り振ることもできる。その結果、全体として仕事が前に進む。チャンスが来る。新しい分野でも何が大事かを掴んで優先順位をつけて仕事をする。それを上司が見ている。
【ポイント】 モチベーションを高めつつ、信頼を得ていけば、やりたいことを進言できる立場になれる。

・特許はエンジニアのモチベーションになる。
特許を出すとき、先行調査をする。これが勉強になる。技術の目利きになれる。独りよがりを防げる。キャリアの定量評価値になる。再就職するとき実績の証明になる。 出願のコツは、普段の生活にネタは転がっている。そこから見つけ出す。
【ポイント】 特許はエンジニアのモチベーションになり、かつ、企業にとっても大事な資産になる。

2 Q&A


3 受講者の感想
(1) 1531095 松上直矢
まずは本日のセミナー(テーマ:大企業)の開催ありがとうございました。
自由に質問ができる形式でとてもよかったです。
大きく分けて
1.研究所での経験
2.共有したい事
3.まとめ
という流れでお話がありました。
そのお話の中で得たこと、共感できたことなどを箇条形式で感想を述べたいと思います。
1.まずはとことんやる!
自分の好きなことならばとことんやることができるのは当然かと思います。
しかし、ここでの「とことん」はあまりやりたいと思わないことに対しても前のめりになって取り組むことを言います。
ものすごく説得力を感じた言葉に「未経験なのにやりたいこと、やりたくないことをすぐ判断できないだろう!?」というのがありました。
私は、先入観だけで逃げ腰になるのではなく、まずはやってみてからだという解釈をしました。
私は2017年4月に入社式を控えています。
希望通りの配属でなかったとしても、まずは与えられた仕事に対して精一杯取り組み、周りから尊敬されるようになりたいと思いました。
2.優先順位を上手に付けることが大事!
特にこの優先順位のお話はためになりました。
初めはとことんやることと矛盾するのではないかと感じました。というのも、「とことんやる=なんでも全力で全部やる」のように考えたからです。
ですが、話を聞くうちに、今やるべきことがどれなのかを取捨選択した上でその選択したことをとことんやるということなのかなと考えました。
確かに、全て自分でやろうとしたりするとパンクしてしまいます。ですので、人に仕事をうまく振ることができるスキルが大事なのかなとも考えました。
会社は協力なしには成り立たないので、人にまかせてもよいことを自分でやってしまうことはよいことのように思えても、実は他の人の仕事を奪っているのかもしれません。
また、はじめのうちは総当たり気味になってしまい、優先順位の付け方がうまくできずに失敗を多くするとは思いますが、経験を通してその時々で適切な判断ができる人間になりたいと思います。
3.イノベーションは日常生活に潜んでいる。
ちょっと考えて「これいいんじゃないか!」というのは大抵の場合すでに誰かが考えていることだというのは事実だと思います。
実際にすごい発見が世の中に出てきたときに、ものすごく難解なものもありますが、意外にもシンプルで「なーんだ!」みたいに思うものもあります。後付けでは
いくらでも「それなら自分でも思いついたよ!」と言うことは簡単です。
ではなんで気づかないのだろうか?と考えると、お話にもあったように、「慣れ」で埋もれて見えなくなっていることが一つの原因として考えられます。
つまり、「当たり前」になってしまっていることの中に実は当たり前ではなかったかのようなものが潜んでいるのでしょう。
このことに気が付くには日常からイノベーションを見つける「クセ」をつけることが大事だと仰っていました。まだ私にはこのクセがないです。
普段から意識するようにしなければと刺激になりました。
また、障壁(困難)にぶち当たったときに、それを乗り越えようとして新規性
が生まれることがあると仰っていました。
困難はうまく避けるのもスキルなのかもしれませんが、同時に困難はイノベーションの生まれるチャンスとも言えるのかなと感じられました。
そのため、成長には必要不可欠なものなのかもしれません。
4.特許は証明書!
会社にとっても自分にとっても財産になることがよく理解できました。
私も特許をとれるように、まずは入社する会社でがんばります。
モチベーションにも繋がるということで、やる気になれました。
5.オープンイノベーションをうまく活用する!
何もすべて0から作り出すだけが新規性なのではないことが改めて理解できました。
既存技術同士を使って新しい組み合わせを考え出すことも新規性であるということです。
そしてこの新しい組み合わせを考え出す前に、今ある既存技術は何なのかをしっかり調査することも大事であると痛感しました。
ITは特に移り変わりが激しいので、常に勉強していかないといけないといった大変さはありますが、同時に飽きがこない面白い世界だなとも思いました。
長くなりましたが以上になります。
また次回の「グローバル」のお話も楽しみにしております。
どうぞよろしくお願いいたします。

(2) 奥田 忠久
湯浅様
電気通信大学先端工学基礎課程1年、社会人学生の奥田です。
本日は貴重なお話を聞かせていただきまして誠にありがとうございました。
また私事都合により中座してしまいましたことを深くお詫び申し上げます。
今回は製品開発の最たる大企業内で、行動と結果がどのように結びついていくのかを、湯浅様の視野を通じて学ばせていただくことができました。
私の所属する企業は小売サービスを生業としており、大企業という点では共通しておりますが、最終的な成果物や社内風土が全く異なりますのでお話されていた内容がとても新鮮でした。
しかし、仕事との向き合い方や仕事に向かう姿勢により伴う結果については、たとえどのような業態であったとしてもアルゴリズムは相似しているものだと改めて感じました。
また、後半にお話されていたオープンイノベーションについて、特に興味を引きました。
畑違いの私がこれからできることとやりたいことをどのようにして実現し、継続させていくかを厳格に直視すると、考えれば考えるほどやはり既存技術やサービスの融合によるブレイクスルーが現実的だと考えています。
湯浅様のようにご自身のプロフェッショナルな部分を熟知し、更にそれを最大限に活かしつつ、別の分野でのプロフェッショナルとジョブパートナーを組まれているビジネスマンとしての視野の広さ、展望、そしてその実行力には畏敬の念を持たずにはいられません。
大学の先輩として、人生の先輩として、気の遠くなるような刺激を頂戴いたしました。
これまでのらりくらりと生きてきた私でも万に一つの可能性を信じて、特にこの2年間は努力を惜しまず前進していきます。
次回以降の「グローバル」に続いて、「起業」までの足跡についてのお話が今からとても楽しみです。
再来週のセミナーにおかれましても、魅惑的なバリトンヴォイスをお聞かせください。
最後に本日は貴重なお時間を共有できましたことを心から感謝いたします。
誠にありがとうございました。

(3)1411182 宮澤 修
先日(10/5)は私たちの為に講演してくださり、ありがとうございました。
私は今まで大企業に勤めることを敬遠していました。しかしそれは経験なしの決めつけであり、いかなる場であっても仕事を全うすることが自分の力となると気づきました。
今後はどの様な環境でもまず可能な限りのことをやっていきます。